
この記事に掲載されている情報は、作成時点の制度・事例をもとにしています。最新情報は法務省・国土交通省などの公的機関で必ずご確認ください。
はじめに
不動産売買において意外と多いのが「隣地とのトラブル」です。
境界線や樹木、塀・フェンスの位置など、日常では気にならなかった問題が売却や購入をきっかけに表面化することがあります。
トラブルを未然に防ぐためには、法的ルールの理解と売買前の準備が重要です。
この記事では、隣地トラブルの代表例と予防策を具体的に解説します。
1. 隣地トラブルの代表例
境界線に関するトラブル
- 「境界標が見つからない」
- 「塀やフェンスが隣地に越境している」
- 「測量結果に双方で認識の違いがある」
樹木や竹の越境
- 枝や根が隣地に入り込み、日照や落ち葉で苦情に発展
- 民法改正により、隣地に越境した枝は所有者に伐採請求できる(民法233条)
雨水・排水の流れ
- 雨どいや排水溝の設置位置によって、隣地へ水が流れ込む
- 水害や損害賠償問題に発展するケースも
工事・解体時の騒音・振動
- 売却前の解体や修繕工事で近隣から苦情が出ることも
2. なぜ売買時にトラブルが増えるのか?
- 買主は「安心して住めるか」を重視するため、境界や権利関係に敏感
- 売買契約書に「隣地との紛争がある」と記載されると成約価格に影響
- 引渡し後にトラブルが発覚すると、売主に説明義務違反を問われる場合も
👉 参考:法務省 民法(物権編)
3. 予防のために売主がやるべきこと
① 境界確定測量
- 測量士に依頼し、隣地所有者立会いのもと境界を確定
- 確定測量図があると、買主への安心材料になる
② 越境物の確認
- フェンス・植木・建物が越境していないか確認
- 越境があれば、売却前に解消するか「覚書」で合意を取る
③ 契約前の告知
- 過去に隣地とトラブルがあった場合、重要事項説明で必ず告知
- 後から発覚すると「契約不適合責任」を問われるリスク
4. 買主がチェックすべきポイント
- 現地で「境界標」があるか確認
- 塀やフェンスの位置が境界内かを確認
- 越境している樹木や構造物の有無を確認
- 雨どい・排水設備の流れが自分の敷地に影響していないかチェック
5. 隣地トラブルを防ぐ「契約の工夫」
- 境界非明示特約:境界を確定しないまま契約するが、買主にとってはリスク大
- 現状有姿取引:現状のまま引き渡す契約。ただし越境物は紛争になりやすい
- 引渡し猶予制度:売主が退去後に越境物を撤去する時間を確保できる
契約時にこれらをどう扱うかで、後々のトラブルリスクが変わります。
6. 豊橋・東三河エリアの実例
- 境界杭がなく土地が曖昧 → 測量費用を売主が負担しトラブル回避
- 庭木の越境 → 売主が伐採して引渡し条件をクリア
- 古いブロック塀の傾き → 事前に業者点検を実施し、報告書を添付
地域特性として、農地転用や敷地が広い物件では境界問題が出やすいため、売却前の準備が特に重要です。
まとめ
不動産売買で最も多いトラブルの一つが「隣地問題」です。
しかし、境界確定・越境物の解消・契約での明確化を行えば、多くは未然に防げます。
- 売主 → 境界確定と正直な告知
- 買主 → 現地確認と契約内容のチェック
- 双方が「安心できる状態」で契約に臨むことが最も大切です。
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