中古住宅を探していると、立地が良くて広さも十分なのに、相場より明らかに安い物件に出会うことがあります。

築年数を見てみると、「築45年」「築50年」といった数字が並んでいます。

ここで必ず確認しなければならないのが、その建物が「1981年(昭和56年)5月31日」より前に建築確認を受けたかどうかです。

この日を境に、日本の建物の強さの基準(耐震基準)は劇的に変わりました。

今回は、いわゆる「旧耐震基準」の物件を買うことの法的なリスクと、それを回避するための「耐震基準適合証明書」について解説します。

震度6強~7で倒壊する恐れがある

旧耐震基準と現在の新耐震基準の最大の違いは、「想定している地震の大きさ」です。

  • 旧耐震基準(1981年5月まで)
    「震度5強」程度の地震で倒壊しないことを目標としています。
    逆に言えば、震度6以上の地震については想定されておらず、倒壊する可能性があります。
  • 新耐震基準(1981年6月以降)
    「震度6強~7」程度の地震でも倒壊しないことを目標としています。
    阪神・淡路大震災や東日本大震災でも、この基準で建てられた家の被害は比較的少なかったことが証明されています。

豊橋や蒲郡を含む東三河エリアは、南海トラフ巨大地震の被害想定エリアです。「安く買えるから」という理由だけで旧耐震の物件を選ぶのは、命のリスクを背負うことと同義かもしれません。

「税金の優遇」が一切受けられない

リスクは命だけではありません。金銭的なデメリットも強烈です。

国は「耐震性のない古い家」の流通を推奨していないため、旧耐震基準のままの物件には、住宅購入時の様々な減税措置が使えないようになっています。

使えなくなる主な制度

  • 住宅ローン控除
    年末残高の0.7%が戻ってくる最大の節税策ですが、原則として「1982年(昭和57年)以降に建てられた家(新耐震)」でないと対象外です。
  • 登録免許税の軽減
    登記にかかる税金が数万円~十数万円高くなります。
  • 不動産取得税の軽減
    購入後にかかる税金が、最大で数十万円高くなります。
  • 地震保険料の割引
    耐震等級割引などが適用されず、保険料が割高になります。

救世主となる「耐震基準適合証明書」

では、古い家は絶対に買ってはいけないのでしょうか。

実は、旧耐震の物件であっても、「今の基準(新耐震)と同じくらいの強さがありますよ」ということを建築士に証明してもらえれば、新耐震物件と同じように税制優遇を受けることができます。

その証明書が「耐震基準適合証明書」です。

取得までの流れ

  1. 耐震診断を行う
    契約前に、建築士に依頼して家の強度を調べてもらいます(費用:約5万~10万円)。
  2. 耐震改修工事を行う
    診断の結果、強度が足りない場合(ほとんどの場合で足りません)、壁を増やしたり筋交いを入れたりする補強工事が必要です(費用:100万~200万円以上かかることも)。
  3. 証明書の発行
    工事完了後、再検査に合格すれば証明書が発行されます。

費用対効果を冷静に見極める

ここで重要なのは、「証明書を取るための工事費」と「減税される金額」のバランスです。

例えば、住宅ローン控除で戻ってくるお金が100万円だとして、そのために200万円の耐震工事をするのは、経済合理性の面では赤字です。

しかし、「命を守るための工事」と考えれば、その費用は決して無駄ではありません。

また、自治体によっては「木造住宅耐震改修費補助金」として、工事費の一部(豊橋市などでは最大100万円程度)を補助してくれる制度があります。これらを組み合わせれば、負担を大幅に減らすことができます。

まとめ:購入前の「診断」が必須

旧耐震の物件を検討するなら、契約する前に必ず「耐震診断」を行ってください。

「買ってから考えればいいや」と思っていると、後から「補強工事に300万円かかる」という事実が判明し、予算オーバーでリノベーションができなくなるケースがあります。

セントラルエステートでは、古い物件のご紹介の際には、必ず耐震リスクのご説明と、補助金を活用した改修プランのご提案をセットで行っております。


参照ソース・事実確認

本記事は以下の国土交通省および国税庁のデータに基づき作成されています。執筆時点(2026年2月)での情報です。

※補助金の額や条件は年度によって変更される場合があります。必ず最新情報を自治体窓口でご確認ください。

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