
ライフスタイルの変化に合わせて、今住んでいる家を売却し、新しい家を購入する「住み替え」。
このとき、もっとも頭を悩ませるのが税金の問題です。
「高く売れたら税金を取られるの?」
「安くしか売れなくて損をしたら、泣き寝入りするしかないの?」
実は、利益が出た場合(譲渡益)も、損失が出た場合(譲渡損)も、確定申告をすることで税金を大幅に減らしたり、払いすぎた税金を取り戻したりできる特例措置が用意されています。
今回は、住み替えを検討するなら絶対に知っておきたい2つの制度と、究極の選択について解説します。
1. 利益が出た場合:「3,000万円特別控除」
購入した時よりも高い価格で売れた場合、その利益(譲渡所得)に対して、通常は約20%の税金がかかります。
しかし、マイホームを売却した場合には、利益から最大3,000万円までを差し引いて計算できるという特例があります。
これを「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼びます。
例えば、2,000万円で買った家が3,000万円で売れたとします。利益は1,000万円ですが、この特例を使えば利益は「ゼロ」とみなされ、税金は一切かかりません。
所有期間の長さに関係なく使えるため、地価が上がっている今の時期には非常にありがたい制度です。
落とし穴:新居の「住宅ローン控除」が使えない!?
ここで最大の注意点があります。
この「3,000万円控除」を使うと、新しい新居での「住宅ローン控除」が使えなくなります。
国としては、「売却益の税金を負けてあげるか、新居のローン減税をしてあげるか、どっちか片方だけにしてね」というスタンスなのです。
そのため、以下のどちらが得かをシミュレーションする必要があります。
- A:売却益にかかる税金をゼロにする(今の税金を消す)
- B:新居で今後10年間~13年間のローン控除を受ける(将来の節税を取る)
一般的には、売却益が少額であれば特例を使わずにローン控除を選び、売却益が巨額であれば3,000万円控除を選んだ方が有利になるケースが多いですが、これは年収や借入額によって異なります。
2. 損失が出た場合:「損益通算と繰越控除」
逆に、買った時よりも安くしか売れず、損失が出てしまった場合はどうでしょうか。
例えば、4,000万円で買った家が3,000万円でしか売れず、1,000万円の損をした場合です。
この場合、「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」という長い名前の制度が使えます。
簡単に言えば、「家の売却で出た赤字を、あなたの給与所得(黒字)から差し引いて計算していいですよ」という制度です。
給料から天引きされた税金が戻ってくる
年収600万円の人が、家の売却で1,000万円の赤字を出したとします。
この特例を使うと、その年の年収は「600万円 - 1,000万円 = マイナス400万円」とみなされます。
所得がゼロ(赤字)になるため、その年に会社から天引きされていた所得税が全額戻ってきます。さらに、翌年の住民税もゼロになります。
しかも、引ききれなかった赤字(この場合は残り400万円分)は、翌年以降「最長3年間」繰り越すことができます。
つまり、最大で4年間にわたり、所得税や住民税がタダ、あるいは激減することになります。
この制度を使うための主な条件は以下の通りです。
- 売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えていること。
- 新しい家を買い、その家に10年以上の住宅ローンを組むこと。
- 合計所得金額が3,000万円以下であること。
まとめ:どちらに転んでも「申告」が命
利益が出たら「3,000万円控除」で税金を消す。
損が出たら「損益通算」で税金を取り戻す。
どちらの制度も非常に強力ですが、共通しているのは「確定申告をしないと適用されない」ということです。
特に損失が出た場合、「損をしたから税務署なんて関係ない」と思って申告をしない人がいますが、それは数百万円単位の還付金をドブに捨てているのと同じです。
セントラルエステートでは、お住まいの売却査定と同時に、「いくらで売れたら、どの特例を使うのが一番得か」という税金シミュレーションも行っています。住み替えを成功させるためには、物件探しと同じくらい、この出口戦略が重要です。
参照ソース・事実確認
本記事は以下の国税庁タックスアンサーに基づき作成されています。執筆時点(2026年2月)での情報です。
※これらの特例適用には、所有期間や新居の床面積など細かい要件があります。最終的な判断は税理士または税務署へご相談ください。

