
長い返済期間を終え、住宅ローンをついに完済。
通帳の残高が引き落とされなくなり、銀行から「完済のお知らせ」が届くと、肩の荷が下りた気持ちになります。
しかし、ここで安心してはいけません。
あなたの家の登記簿(登記事項証明書)には、まだしっかりと「〇〇銀行 債権額〇〇万円」という記録(抵当権)が残ったままなのです。
この記録を消す手続きを「抵当権抹消登記(ていとうけんまっしょうとうき)」と言います。
これは自動的には消えません。銀行もやってくれません。あなた自身が動かない限り、未来永劫、あなたの家は「借金のかた」に入ったままになってしまいます。
なぜ「すぐに」消さないといけないのか
「借金は返し終わっているんだから、登記なんていつでもいいじゃないか」
そう思って書類をタンスの奥にしまってしまう方がいますが、これには大きなリスクがあります。
1. 書類の有効期限や紛失リスク
銀行から送られてくる書類の中には、「代表者事項証明書」など、有効期限(発行から3ヶ月以内)があるものが含まれていることがあります。
また、再発行が非常に難しい「登記済証(権利証)」や「登記識別情報」を紛失してしまうと、手続きの難易度と費用が一気に跳ね上がります。
2. 銀行の合併・名称変更
数年放置している間に、銀行が合併して名前が変わったり、代表者が交代したりすることがあります。
そうなると、送られてきた書類だけでは手続きができず、追加の書類を取り寄せたり、変更の経緯を証明する書類を自分で作成したりする必要が出てきます。
3. 将来の売却や相続でのトラブル
いざ家を売ろうとした時、あるいは相続が発生した時、この抵当権が残っていると手続きが進みません。
その時に慌てて手続きをしようとしても、何十年も前の書類が見つからず、司法書士に高い報酬を払って依頼することになります。
手続きの流れと必要書類
完済から2週間~1ヶ月ほどで、銀行から分厚い封筒が届きます。まずは中身を確認しましょう。
銀行から送られてくるもの
- 抵当権設定契約証書(または登記済証・登記識別情報通知)
一番大事な書類です。「済」のハンコが押してあったり、パスワードが隠されたシールが貼ってあったりします。 - 解除証書(弁済証書・放棄証書)
「借金がなくなったので担保を外します」という証明書です。 - 委任状
銀行の代表者が「抹消手続きをあなた(または司法書士)に任せます」という書類です。 - 代表者事項証明書(資格証明書)
銀行の代表者が誰かを証明する書類です。
「自分でやる」か「司法書士に頼む」か
この手続きは、自分で行うことも可能ですし、プロに任せることもできます。
パターンA:自分でやる(費用:約2,000円~)
法務局(豊橋や新城などの管轄支局)に行き、相談窓口で書き方を教えてもらいながら申請します。最近は郵送やオンライン申請も可能です。
- メリット:費用が実費(登録免許税)だけで済む。
- デメリット:平日の日中に法務局へ行く必要がある。申請書の作成に慣れていないと修正の手間がかかる。
※登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。土地と建物でセットなら2,000円です。
パターンB:司法書士に頼む(費用:約1.5万円~2万円)
銀行から届いた書類をそのまま司法書士事務所に持ち込むだけです。
- メリット:確実で早い。役所に行く必要がない。
- デメリット:報酬(手数料)がかかる。
住所変更登記も忘れずに
ここで一つ、よくある落とし穴があります。
家を建てた当初(ローンを組んだ時)と現在で、住所や氏名が変わっている場合です。
登記簿上の住所が「前の住所(アパートなど)」のままだと、抵当権抹消の前に「住所変更登記(名義人表示変更登記)」をしなければなりません。
この手続きも忘れていると、法務局で「住所が違うので受け付けられません」と門前払いされてしまいます。
まとめ:書類が届いたら「即」行動
抵当権抹消は、住宅ローンのゴールテープを切るための儀式です。
銀行から書類が届いたら、その週末には封を開け、自分でやるか司法書士に頼むかを決めましょう。
もし、「書類の見方がわからない」「忙しくて法務局に行けない」という場合は、セントラルエステートにご相談いただければ、信頼できる地元の司法書士をご紹介いたします。
参照ソース・事実確認
本記事は以下の法務局の手続き案内および登録免許税法に基づき作成されています。執筆時点(2026年2月)での情報です。
※ご自身で申請される場合は、必ず管轄の法務局(登記所)で事前相談を受けることをお勧めします。

